Swedish Design & Culture

街に寄り添うデザイン

どの国のどこの街にも存在するサインや看板。普段、何気なく目に入っては流れていくそれに注目してみると、その街と、デザインの歴史が見えてきます。
ストックホルの街にも、景観にと調和しつつ個性の光る様々なサインや看板が存在します。

毎日、70万人以上が利用するストックホルムのメトロ。そのサインは、1950年の操業開始以来、何度かデザインが刷新されています。
時代と共に生まれ変わってきたメトロのサインですが、古くからある駅の構内や出口付近には、以前のサインが今も使われており、当時の面影を残しています。

一方、石畳の街並みが美しい『ガムラスタン』。
スウェーデン語で“古い町”を意味するスターズホルメン島の旧市街です。
この島は、映画『魔女の宅急便』のロケーションモデルとなった場所で、 お店のサイン看板がとてもクラシカルでかわいらしいものが残っています。
1859年創業のキャンディーファクトリー『Polkapojkarnas Polkagriskokeri’s』の看板は、昔ながらのつり看板と飴が目印。その他にも『 Frisör』 (美容室)、『Blommor』 (お花屋)、カフェやバー(Pub)、『Bibliotek』(図書館)の看板など、どれも個性豊かです。
日本でよく見かけるような、蛍光灯入りの乳白色の看板は少なく、全体的にクラシカルなタイプを多く目にすることができます。
商店や事業所の他にも、街なかにある玄関ドアには番地を示す番号が掲示され、これも他に同じものが無く、とてもユニークです。

数あるサイン看板の中で、スウェーデンで最も古いものといえば“Stomatolskylten(ストマトール)”。ストマトールとは当時スウェーデンで最も人気のあった歯磨き粉。このネオンサイン、なんと100年以上も前に設置されたものなのです。

デザインしたのは、発明家でありアーティストであったマウリツ•ラーション(Mauritz Larsson)。
始めは、ガムラスタンから見るのに絶好の位置にあったカタリーナヒッセンという塔に設置されていましたが、1933年に建て直しのために取り壊され、近くのビルの屋根部分に移設されました。この時、ネオンサインの上にもう一つ、同じデザインの看板がペンキで描かれていましたが、塔の取り壊しとともに、そちらは姿を消しています。
その後、新しい建物が1936年に建て替えられましたが、ネオンサインはそのままのビルの上にとどまります。

長い歴史を持つこのサイン、年月の経過とともに進歩した表現技術により、色々な動きが追加され、現在もセーデルマルム広場から見ることができます。
また、そのネオンサインは、ストックホルムの景観においてとても重要な要素であり、文化遺産として残すことを希望する声も上がっていますが、現在のスウェーデンではネオンサインは文化財として登録が出来ないため、その存続は、ビルの所有者に委ねられています。

ストックホルムのサイン看板は、街の歴史とともに有り、なくてはならない存在として、今日も街のあちこちで、人々を然るべき場所へと導いているのです。

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