Swedish Design & Culture

カペラゴーデン

『カペラゴーデン』は、「スウェーデン家具の父」とも呼ばれたカール•マルムステンが設立した、木工•家具デザイン、テキスタイル、陶芸、園芸が学べるスウェーデン内でも有名なデザイン学校です。
カール•マルムステンは、hand(技術力)とmind(創造力)の不可欠なコンビネーションによって良いデザインが生まれると考え、その精神を育成することができるような「聖域」を作りたいとの想いがありました。
そんな彼の想いはやがて、ストックホルムから南東に位置するエーランド島という場所にクラフト&デザインの学校を設立するに至ります。

『カペラゴーデン』の主な特色は、突き詰めたクラフト精神にあります。
生徒は基本的に敷地内の寮で生活をすることになり、生活で必要なものは自分たちで作ることも。ときには野菜、果物、食器、家具、タオル、カーテン、ベッドカバー、などなど。
また、海外からの留学生の受け入れ体制も整っています。普段の何気ない会話の中でも、お互いのお国柄の話題やそれぞれの考え方についての話になることで、生徒同士の意識を高め合うことも。
『カペラゴーデン』では、ただデザインを勉強するというよりは、他の生徒たちとの共同生活、作品に囲まれた生活、きれいな植物のある生活、たくさんのインスピレーションを受けることのできる環境で学ぶことを目的にしています。
それはつまり、本来あるべき人間の営みのなかから創造性を育むというのが大きな目的だったのです。その目的を実践するためにはそれ相応の環境が必要でした。

例えば、『カペラゴーデン』があるエーランド島南部の土地は、世界遺産として登録されている昔からの農業地帯があります。農業地帯といっても、石灰岩で覆われた不毛の平原が広がっているのです。
なぜそんな場所が農業地として世界遺産に登録されているかと言うと、そのやせた地質と高いPHレベルのせいで多くの希少種を含む植生がみられるといった「生物の多様性」と、そんな大地でも自分たちの力で開拓し生き抜いた、先史時代からの「人類の苦闘の痕跡」とが評価されたというのが主な理由でした。

デザイナーであると同時に、自らが高度な木工技術を駆使して家具を製作することができたカール•マルムステン。そして「生活者の視点を失わないものづくり」と「自然に学ぶ謙虚な姿勢」を提唱していた彼だからこそ、hand & mind を育成するうえで、エーランド島という自然豊かでありながら厳しい大地をその場所として選んだのではないでしょうか。
生活に根ざしたデザインとは、本来あるべき人間の営みから生まれるもと教えてくれてくれているようです。

http://www.capellagarden.se/english.asp

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